国の政策の一環で、高齢者世代のお金を若い世代に移動させようとする政策があります。
それが「教育資金の一括贈与の非課税」と「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税」です。
この贈与の特例ですが、世代間の資金移動の側面もありますが、相続税対策としても使われます。
そこで、これらの贈与の特例の概要と銀行の関連商品についてまとめました。(2015年10月追記分)
教育資金の一括贈与の非課税とは
相続対策として有効な生前贈与ですが、国も政策として高齢者の資産を若い世代へ移動しようと考えています。
というのも、日本の金融資産の60%は60歳以上が保有していると言われてるからです。
日本の内需を高めるために、子や孫世代にお金を使ってもらうことが必要なのです。
教育資金の一括贈与の非課税とは、正式には「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」といい、
父母(又は祖父母)が子(又は孫)に一定の教育資金を贈与した場合には、最大1,500万円まで贈与税を非課税にするものです。
27年度改正で、贈与の対象期間が平成31年3月31日まで延長されました。
なお、一括贈与と暦年贈与の併用は可能なため、より生前贈与による相続税対策の効果が高まりそうです。
適用要件
- 贈与者(あげる人) 父母または祖父母(直系尊属)
- 受贈者(もらう人) 30歳未満の子または孫(直系卑属)
- 非課税金額 1,500万円(うち塾などの学校以外への支払いは500万円)
- 対象期間 平成31年3月31日の贈与まで
留意点
- 30歳までに使い切れなかった残高は贈与税の対象
- 贈与者の死亡時点で使い切れなかった残高は相続税の対象
- 金融機関との手続きが必要
- もとから教育資金の贈与は非課税
参照:国税庁HP「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税のあらまし」
結婚・子育て資金の一括贈与の非課税とは
結婚・子育て資金の一括贈与の非課税とは、27年度改正で創設された「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」のことを言います。
父母(又は祖父母)が子(又は孫)に一定の結婚・子育て資金を贈与した場合には、最大1,000万円まで贈与税を非課税にするものです。
適用要件
- 贈与者(あげる人) 父母または祖父母(直系尊属)
- 受贈者(もらう人) 20歳以上50歳未満の子または孫(直系卑属)
- 非課税金額 1,000万円(うち結婚費用は300万円)
- 対象期間 平成31年3月31日の贈与まで
留意点
- 50歳までに使い切れなかった残高は贈与税の対象
- 贈与者の死亡時点で使い切れなかった残高は相続税の対象
- 金融機関との手続きが必要
参照:国税庁HP「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税のあらまし」
メガバンクの対応まとめ
三菱UFJ信託銀行
教育資金の一括贈与の非課税
- 信託期間中の管理手数料が無料
- 三菱UFJ信託銀行なら立替払いが可能
- 元本が保証されるため、元本割れの心配がない
詳細は、こちら「教育資金贈与信託 まご よろこぶ」
結婚・子育て資金の一括贈与の非課税
- 信託期間中の管理手数料が無料
- 三菱東京UFJ銀行・三菱UFJ信託銀行への振込手数料が無料(他行へは一定の振込手数料が必要)
- 元本が保証されるため、元本割れの心配がない
詳細は、こちら「結婚・子育て支援信託」
三井住友銀行
教育資金の一括贈与の非課税
- 全国の本支店窓口で出金可能
- 口座開設の手数料が無料
詳細は、こちら「普通預金(教区資金贈与非課税口)」
結婚・子育て資金の一括贈与の非課税
- 全国の本支店窓口で出金可能
- 口座開設の手数料が無料
詳細は、こちら「普通預金(結婚・子育て資金贈与非課税口」
みずほ信託銀行
教育資金の一括贈与の非課税
- 信託期間中の管理手数料・事務手数料が無料
- みずほ銀行・みずほ信託銀行への振込手数料が無料(他行へは一定の振込手数料が必要)
- 元本が保証されるため、元本割れの心配がない
詳細は、こちら「教育資金贈与信託 学びの贈りもの」
結婚・子育て資金の一括贈与の非課税
- 信託期間中の管理手数料・事務手数料が無料
- みずほ銀行・みずほ信託銀行への振込手数料が無料(他行へは一定の振込手数料が必要)
- 元本が保証されるため、元本割れの心配がない
詳細は、こちら「結婚・子育て支援信託 希望の贈りもの」
まとめ
今回は、教育資金の一括贈与の非課税と結婚・子育て資金の一括贈与の非課税の解説と、メガバンクの対応をまとめてみました。
この制度は、有効な相続税対策になりますので、是非有効活用してほしいと思います。
ただし、富裕層が子や孫に高い水準の教育をすることで、格差が拡大するが少し気になります。
通常通りに相続税として国に入ったお金を、貧富の差なく公立学校の教育水準を高めるために使った方がいいような気もしますが。
では、また。