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平成27年度の年末調整より非居住者の扶養控除の要件が厳格化

投稿日 : 2015年8月20日 / 更新日 : 2016年6月28日

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非居住者の扶養控除

平成27年度の税制改正で所得税の非居住者の親族に対する扶養控除が改正になり厳しくなりました。

外国で生活している親族(以下「非居住者」という。)を扶養控除の対象とするためには、

「親族であることの証明」「同一生計であることの証明」が必要になりました。

この改正は、平成28年1月1日以後に支払われる給与等について適用されるため、

平成27年分の所得には影響ありませんが、年末調整で会社に扶養控除等申告書を提出する場合は、

追加で添付する書類が増えるため注意が必要です。

国税庁HPの詳細リンク(2015年11月追記)

国税庁HPの平成27年分の年末調整特集ページのリンクを追加します。(こちら

国外居住親族に係る扶養控除等の適用についての「Q&A」と「リーフレット」が掲載されています。

英語のリーフレットもあるため、適用を受ける従業員がいる場合は渡してあげましょう。

非居住者の扶養控除が厳格化された背景に外国人労働者の増加あり

平成27年度の税制改正で非居住者の扶養控除が厳格化された背景に外国人労働者の増加があります。

厚生労働省の資料(詳しくはこちら)を要約すると、以下のとおりです。

  • 平成26年10月時点で外国人労働者は約79万人(平成19年の届け出の義務化以降、最高を更新)
  • 外国人労働者を雇用する事業所は約14万箇所(こちらも過去最高を更新)
  • 外国人労働者の内訳は中国人(約40%)、ブラジル人(約12%)、フィリピン人(約11%)

年々外国人労働者が増加しているにもかかわらず、外国人労働者に対する税制が整っていなかったため、

日本人と同じ税制で適用してきたのが背景にあります。

非居住者を利用した所得税の回避

平成27年度の税制改正の前までの扶養控除の要件は簡略すると次のとおりでした(詳しくはこちら

  1. 配偶者以外の親族であること
  2. 納税者と同一生計であること
  3. 合計所得が年38万円以下であること
  4. 専従者給与の対象でないこと

「親族が日本に住んでいること」という要件はないため、外国に住んでる親族も扶養控除の対象とすることが可能でした。

また、要件の確認方法が「扶養控除等申告書」による自己申告のみだったため、

たとえ虚偽の報告をしても確かめる術がありませんでした。

実際に筆者も外国人労働者の扶養控除等申告書を見て年末調整をしましたが、たくさん扶養親族がいて驚きました。

というか、書かれている内容が外国語で読めませんでした(汗)

非居住者である親族を扶養控除の対象とするための必要書類

▶親族関係書類

親族であること証明する書類で、次のいずれかの書類

・戸籍の附票の写しその他の国または地方公共団体が発行した書類及びその親族の旅券の写し
・外国政府または外国の地方公共団体が発行した書類(その親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限る)

▶送金関係書類

同一生計であることを証明する書類で、次の書類

・金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引によりその居住者(納税者)からその親族に支払をしたことが明らかな書類
・クレジットカード会社の書類又はその写しで、そのクレジットカード会社が交付したカードを提示してその親族が商品等を購入したこと等及びその商品等の購入等の代金に相当する額をその居住者(納税者)から受領したことが明らかな書類

▶上記書類の訳文

上記の「親族関係書類」「送金関係書類」が外国語で作成されている場合は、訳文も添付

まとめ

年末調整で非居住者の扶養控除の要件が確認された後に確定申告を行う場合は、確定申告書に上記書類を再度添付する必要はありません。

平成27年11月頃より始まる年末調整では、従業員のマイナンバーも確認しなければなりません。

そのうえ、非居住者の扶養控除の要件まで確認していたら経理の事務負担はかなり増えることになりそうです。

年末調整という言葉通り12月から始めたのでは年末の給与には間に合わないかもしれません。

経理担当者は早めの準備とアナウンスが必要になりそうです。

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