2011年の東日本大震災や、2015年の台風による堤防の決壊など日本は災害が多く発生します。
多くの人は災害に備えて非常用持ち出し袋などを準備していると思います。
しかし災害時の税金について知っている人は多くないと思います。
そこで、災害が発生した場合の税金(所得税と住民税)についてまとめました。
なお、東日本大震災では、さまざまな法律を作って対応していました。(詳しくはこちら)
雑損控除とは
概要
雑損控除とは、災害(盗難、横領も含む)によって、自分または家族の資産について損害を受けた場合に、
一定の算式で計算した金額の所得控除を受けることをいいます。
国税庁HP 「雑損控除」について
要件
(1)資産の所有者が次のいずれかであること
- 納税者
- 納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額が38万円以下の者
(2)日常生活品(事業用の資産や別荘、書画や骨董など高価なもので1個30万円を超えるものは対象外)
損失額
控除を受けるための損失額は、損害金額だけでなく、
災害により滅失した住宅や家財などを取壊し又は除去するために支出した金額を含みます。
ただし、災害などに関して受け取った保険金や損害賠償金は差し引いて計算します。
控除額
次の二つのうちいずれか多い方の金額です。
- 損失額-総所得金額等×10%
- 損失額のうち災害関連支出の金額-5万円
(注) 損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、
翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。
なお、雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています。
手続き
確定申告が必要となります。
なお、災害関連支出金の領収証等の添付または提示が必要なので、保存しておきましょう。
また、給与所得者は源泉徴収票(原本)の添付が必要です。
雑損控除と住民税
雑損控除は住民税と所得税に違いはないため、所得税の確定申告書を提出する場合は、
住民税の申告書を提出する必要はありません。
災害減免法による所得税の軽減免除とは
概要
災害減免法による所得税の軽減免除とは、災害によって受けた住宅や家財の損害金額(保険金などにより補てんされる金額を除きます。)が、
その時価の2分の1以上で、かつ、災害にあった年の所得金額の合計額が1000万円以下のときにおいて、
その災害による損失額について雑損控除を受けない場合は、
災害減免法によりその年の所得税が次のように軽減されるか又は免除されます。
軽減または免除される所得税の額
所得金額の合計額によって、軽減または免除される金額が決まっています。
- 所得合計が500万円以下の場合・・・所得税の額の全額
- 所得合計が500万円超750万円以下の場合・・・所得税の額の2分の1
- 所得合計が750万円超1,000万円以下の場合・・・所得税の額の4分の1
手続き
災害減免法の適用を受けるためには、確定申告書に適用を受ける旨、被害の状況及び損害金額を記載して、
原則として確定申告期限内に、納税地の所轄税務署長に確定申告書を提出することが必要です。
雑損控除と災害減免法の有利判定
雑損控除と災害減免法は、どちらか一つしか受けられません。
両方計算した上で有利な方を選択することになります。
災害減免法と住民税
住民税では災害減免法の制度がないため、所得税の確定申告において災害減免法の適用を受けた場合には、
住民税のみ雑損控除の申告が必要となる場合があります。
災害減免法を受けた場合は、市区町村の役場で住民税の申告をすべきか確認しましょう。
まとめ
世界的な異常気象により、日本でも毎年のように自然災害が発生しています。
人命第一で考えるのは当然ですが、落ち着いたら復旧と生活の安定が必要になります。
そんなときに、税金の知識があれば何かの助けになるかもしれません。