2015年10月から消費税の課税の見直しにより、
デジタルコンテンツ(DC)の越境ECに対する消費税の判定基準が、
「役務の提供を行う者の事務所等の所在地」から「役務の提供を受ける者の住所地等」 に見直されました。
これにより、今まで海外向けにデジタルコンテンツを輸出している事業者は免税売上が不課税売上に変わるかもしれません。
そこで、デジタルコンテンツの越境ECを行う事業者の立場からの越境ECに対する消費税を考えてみます。
越境ECとは
越境ECとは、国際的な電子商取引のことである。 ECとは”electronic commerce”(エレクトロニックコマース=電子商取引)の略。(Wikipediaより)
簡単に言うと、日本の商品をネットを通じて海外に販売することです。
最近よく聞くようになったキーワードですが、実際に海外に向けて商品を販売する事業者も増えてきているようです。
デジタルコンテンツの越境ECとは
越境ECのうち、実在の商品ではなく、ソフトウェア・電子書籍・オンラインゲームなど
インターネットを通じて海外に販売されるものを指します。
インターネットの発展と法律の整備により最近拡大している事業形態です。
(デジタルコンテンツの詳しい内容は国税庁の資料を参照)
消費税の国内取引の判定
消費税が課税されるかどうかは、国内取引の判定をする必要があります。
そのうち、デジタルコンテンツの越境ECに対する国内取引の判定基準が見直されました。
(詳しくは、国税庁HPを参照)
〈改正前〉
役務の提供を行う者(デジタルコンテンツの販売側)の所在地で判定
つまり、日本から海外に向けて販売するケースだと、日本の通販事業者の所在地で判定されます。
そして、販売商品がデジタルコンテンツだと、免税売上に該当することになります。
〈改正後〉
役務の提供を受ける者(デジタルコンテンツの購入側)の住所地で判定
つまり上記のケースだと、海外の購入者の住所地で判定されます。
そして、販売商品がデジタルコンテンツだと、不課税売上に該当します。
消費税の納税義務がなくなる?
消費税の納税義務があるのは、原則として前々事業年度(個人事業者は前々年)における課税売上高が1,000万円を超える場合です。
(詳しくは、国税庁HP参照)
この課税売上高には、海外に向けて販売した免税売上を含みます。
しかし、デジタルコンテンツの越境ECに係る売上が不課税売上に見直されると課税売上に含めないこととなります。
もし、課税売上高が1,000万円以下になると、2年後の事業年度から消費税の納税義務がなくなる可能性があります。
売上高の構成比率のうち、デジタルコンテンツの越境ECに係る売上が多い事業者は注意が必要です。
まとめ
消費税の判定基準の見直しによるデジタルコンテンツの越境ECについてまとめました。
該当する事業者は注意しましょう。
なお、仕入側はリバースチャージ方式という新しい考え方が出てくるので同じく注意が必要です。
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