末期がん患者が最後の頼みの綱として効果が分からない民間療法に臨むことがあります。
民間療法は保険適用外のものが多く非常に高額です。
しかし末期がん患者にとっては、命に変えられないので、いくら高額な請求をされても払わずを得ません。
そんなとき、所得税の医療費控除は適用できるでしょうか。
萩原健志 税理士事務所 URL http://simple-tax.jp
所得税の医療費控除とは
医療費控除とは、納税者が自分または家族のために一年間に支払った医療費のうち、一定の算式で計算した金額(最高200万円)を所得金額から控除できことをいいます。
詳しくは、国税庁HP「医療費控除」を参照
医療費控除の控除金額は支払った金額の全額ではない
医療費控除で控除できる金額は、簡単にいえば、次の金額です。※詳しくは国税庁のHPを確認
実際に支払った医療費-補填される保険金-10万円(所得によって変わる)
支払った全額が医療費控除を受けられると思っている人が多いですが、実際は違います。
また、控除金額は200万円が限度なので、それ以上払っても医療費控除は受けられません。
医療費控除の対象となる医療費は治療のために限定される
医療費控除の対象となる医療費は、国税庁HPを参照しましょう。
大きな観点で言うと、治療のために支払ったものです。
自己都合による支出は医療費控除の対象となりません。
次のものは、よく引っかかる医療費です。
- 歩けない人が使うタクシー代は対象となるが、
歩ける人が使うタクシー代は対象外 - 治療のための歯科矯正は対象になるが、
美容整形のための歯科矯正は対象外 - 市販の風邪薬は対象となるが、体調維持の栄養剤は対象外
- 健康診断は対象外となるが、健康診断の結果によって生じる治療は対象となる
- 医師の指示による差額ベッド代は対象となるが、
自己都合による差額ベッド代は対象外
末期がん患者のための民間療法と医療費控除
末期がん患者のための民間療法は医療費控除になるかといえば、治療に該当すれば対象となるはずです。
しかし、効果がない治療のための支出は対象とならないはずです。(具体的には税務署に確認しましょう)
医療費控除の対象となる条件に、保険が適用されるかは関係ないのです。あくまで治療のための支出になるかです。
しかし、代替療法や補完療法は保険適用外のものが多く、非常に高額です。
しかも、治療の効果は「治った人がいる」程度の科学的根拠の薄いものもあります。
治療のための支出は医療費控除になりますが、すべての医療費が対象になるわけではないと考えられます。
国税庁でも細かい支出の内容までは規定していないので、はっきりしたことが言えないのが現状です。
まとめ
がん治療による代替療法や補完療法と医療費控除についてまとめました。
医療費控除の対象となるかは治療に該当するかがポイントになります。
しかし一番の問題は、効果がないにもかかわらず、がん患者を食い物にする人がいるということではないでしょうか。