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消費税の軽減税率で始まるインボイスはさらなる増税への布石

投稿日 : 2015年10月23日 / 更新日 : 2016年6月26日

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消費税の軽減税率消費税の軽減税率に関するニュースで、宮沢洋一税制調査会長のインタビュー記事が載りました。

内容は、消費税の軽減税率に関するものです。

あまり考えたくありませんが、実際に消費税の軽減税率が始まると、事業者はどのような経理処理をすることになるのでしょうか。

そこで、消費税の軽便税率やインボイスの経理処理についてまとめました。

なお、この記事は2015年10月の時点の情報で書いています。

インタビューでは簡易な経理処理を検討すると言っているので、新しい情報が出てきたら追記しようと思います。

宮沢洋一税制調査会長のインタビュー記事

宮沢洋一税制調査会長のインタビュー記事を要約すると次のようなことを言っています。

  • 2017年4月からはじまる消費税10%に合わせて軽減税率を導入する
  • 軽減税率の開始にともなってインボイスを導入するが、当面は簡易な経理処理を検討中
  • 軽減税率の適用税率を8%でなく9%を検討中

検討課題が多く、2017年4月にインボイスが導入されるのか少し疑わしいです。

軽減税率9%は効果があるのか

インタビュー記事で、軽減税率8%なら1兆3000億円の税収減だが、9%ならその半分の6600億円で済む。と言っていました。

しかし、それは政府の理屈であって、事業者から見るとインボイス導入にかかるコストは税収減以上かもしれません。

具体的にはレジのシステム変更もありますし、食品ごとの税率登録にかかる人的コストや時間的コストも発生します。

現在の情報では軽減税率の対象を「酒類を除く飲食料品」としていますが、これも政治の力によっては変わる可能性があります。

某政党が新聞に軽減税率を適用するべきだと言っていますし。

それなら、すべての税率を9%に統一したほうがシンプルですし、システム変更のコストも掛かりません。

軽減税率やインボイスで利益をえるのは誰?

先日、マイナンバー制度の導入で厚生労働省の職員が汚職で逮捕される事件がありました。

この事件からも分かるように、政府主導のシステム変更はシステム系の会社にとってはビジネスチャンスになります。

もし、消費税の軽減税率でインボイスが導入されると小売店や飲食店はシステム変更を余儀なくされます。

小売店はレジのシステムを変更する必要があるかもしれませんし、飲食店は会計ソフトの変更が必要かもしれません。

これはシステム系の会社には大きなビジネスチャンスです。

その反面、贈収賄などで逮捕される人の増加も予想されますが。

そもそもインボイスとは

インボイスとは、物品を送るときに税関への申告、検査などで必要となる輸出入の書類ですが、

消費税の軽減税率で導入されるインボイスは、商品ごとに消費税の税率と税額を記載した請求書になります。

これは、事業者が経理をする場合に混乱しないようにするための処置です。

現在は、消費税の軽減税率の対象が『酒類を除く飲食料品』に限定されていますが、

変更されて複雑になる可能性も十分考えられます。

インボイスの注意点

インボイスでは、今までよりも帳簿の記載方法や保存方法が複雑になります。

  • 請求書を発行した事業者は、請求書の副本を保存しなければならない。
  • 請求書に税率と税額を記載しなければならない。
  • 免税事業者はインボイスを発行できない
  • 免税事業者からの仕入については、仕入税額控除ができない
    ※現在の制度では、免税事業者や消費者からの仕入でも仕入税額控除が可能(※タックスアンサー№6455より)

インボイスの仕訳

実際にインボイスが導入された場合の事業者の仕訳はどのようになるのでしょうか。

(例)飲食店の店主が刺身用の魚と日本酒を購入した場合

インボイス導入前
 仕入/現金 1万円 税率8% (摘要)仕入 魚、酒

インボイス導入後
 仕入/現金 5千円 税率8% (摘要)仕入 魚

 仕入/現金 5千円 税率10% (摘要)仕入 酒

税率が異なる商品ごとに仕訳が増えることになります。

単純な仕訳なら問題なさそうですが、仕入が多い業種が領収証を見ながら作業をすると大変な負担です。

会計ソフトの設定で商品ごとに税率を設定しておいたほうが良さそうです。

なぜインボイスを導入するのか

当面は簡易的な経理処理を導入して、徐々にインボイスを導入していくことを検討しているようです。

なぜ、そこまでインボイスを導入しようとするのでしょうか。考えられるのは、『将来に消費税の税率をさらに上げる』ということです。

税率10%と軽減税率8%(9%?)の税収効果とコスト負担を考えると、インボイスなど導入せずに9%に統一したほうがシンプルですし、事業者の負担も抑えられます。

しかし、それでもインボイスを導入するのは、将来に税率を10%からさらに上げること、そして軽減税率を浸透しやすくすることを狙っていると考えたほうが自然です。

まとめ

消費税の軽減税率と、インボイスの導入についてまとめました。

インボイス導入で混乱が予想される業種は、対応をしておくことをオススメします。

しかも、将来にわたって軽減税率の対象商品や税率が変わることを想定しておいたほうが良さそうです。

 

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