税理士試験の受験者数が毎年減ってきています。
【税理士試験の受験者数】
- 平成24年度 48,123人
- 平成25年度 45,337人
- 平成26年度 41,031人
- 平成27年度 38,175人
- 平成28年度 35,589人←new
これは、税理士に限ったことではなく、弁護士や会計士など他の国家試験も同じように減少傾向にあります。
そこで、このような状況になった理由と、将来どのような状況が起こるかを予想してみました。
税理士試験の受験者数の推移グラフ
グラフを見ると、過去6年間で税理士試験の受験者数が1万人以上減少しているのが分かります。
また、同様に合格者数も減少しています。(これは採点基準で調整していると考えられます。)
国家試験の受験者数の減少理由を考えてみた
1.収入面で食えない職業だと思われている
受験者にとって難関資格でも収入面で魅力があれば努力のしがいがあります。
しかし、現状は食えない税理士(弁護士や会計士も含む)がいて収入面で安定していないと思われています。
実際は、しっかりと生計を立てている税理士も多いのですが・・・
2.少子化
受験者数の減少には、絶対数の減少も関係していると思われます。
国家試験に年齢制限はありませんが、受験適齢期である20代30代が減少すれば、比例して受験者数も減少します。
3.無気力な人の増加
国家試験は難関資格ですが、それにチャレンジしようとする人が減ったような気がします。
最初から無理だと諦めて、安全な道や一般的だと言われている道を選ぶ人が多くなった気がします。
ネットの普及で情報が多くなり、物事が平均化しやすくなっているのが原因の一つではないでしょうか。
4.競争の加熱
収入面に関係しますが、税理士も含め士業の数が増えすぎて競争過多の状況になっています。
税理士に定年はないため、高齢で申告業務が難しくなってきても、顧問先の要望があれば断れませんし、会計士から税理士に登録する人が多いのも原因の一つではないでしょうか。
そのため、価格競争になり生計を立てられない税理士が多くなります。
5.ITの発展でなくなる職業に選ばれている
最近では「IOT」と呼ばれていますが、ネットの発達で会計業務が消えると言われています。
受験生にとっては将来なくなる職業につくために、難関資格に労力を割くのは避けたいと思うのは当然です。
実際は、そんなすぐに消えないと思いますが・・・
将来の会計業界を勝手に予想
1.会計事務所のブラック企業化
受験者数の減少は、会計事務所の職員そのものの減少につながります。
マイナンバーや税制改正で曖昧さを許さない傾向にある会計や税務で、税務職員の減少は労働環境の悪化を引き起こします。
すでに低価格を売りにしている会計事務所では起きているかもしれません。
2.事業承継できずに廃業する会計事務所
現在の会計税務を支えているのは、60代以上の団塊の世代の税理士です。(60代が税理士の平均年齢という世界!)
しかし高齢の所長税理士がやめる頃に、事業を引き継ぐ若い税理士がいない事務所は、吸収されるか、廃業することになります。
すでに、会計事務所の事業承継が問題になっています。
3.会計事務所難民の増加
税務申告を依頼する会社からすると、会計事務所が廃業になると、申告ができなかったり、申告期限から遅れることにになります。
たとえば、突然の所長の入院で会計事務所が廃業すると、申告できないという税金難民や経理難民も考えられます。
高齢の税理士事務所に頼んでいる会社は、次の会計事務所を考えるなど、対応策が必要かもしれません。
4.大手会計事務所による職員の独占
誰でも労働環境が良い事務所で働きたいものです。
もし上記のような状況になれば、会計業界に就職しようとする人の多くは、安定している大手の会計事務所を希望することが考えられます。
その結果、勝ち組の会計事務所と、負け組の会計事務所がはっきりと現れることが予想されます。
5.職員からITへの代替
かなり先の予想ですが、小さい会計事務所では、人を雇うことが難しくなることが予想されます。
そのため、人に代わりにITを使うことになると考えられます。
すでに単純な入力であればデータを取り込めるため、将来はマンパワーが不要になるかもしれません。
まとめ:受験者数の減少は、経理を頼む方の会社にも影響する
税理士試験の受験者数の減少理由を5つ、会計業界の将来の予想を5つを勝手に考えてみました。
考えているうちに、この問題は税理士だけの問題ではなく、税務や経理を依頼する企業にも影響することに気づきました。
税理士試験の受験者数が減ったニュースなんて関係ないよと思っていても、問題は突然やってくるかもしれません。
もし今の会計事務所に不安があるなら、一度ご相談下さい。