2016年序盤の大きなニュースとして『ベッキーとゲスの極み乙女の川谷の不倫』と『SMAP解散危機』がありました。
この際話題になったのが、多くのCM契約をしているベッキーやSMAPは、今回の騒動で多額の違約金として損害賠償金を請求されるのでは?という報道です。
ところで、3億円とも4億とも言われる損害賠償金ですが、原則として消費税は非課税となります。
今回は、なぜ消費税では損害賠償金が非課税かという解説ともに、損害賠償金の経理処理を紹介します。
※この記事は、個人的見解をを含むため、申告を保証するものでありません。予めご了承下さい。
損害賠償金が発生するケースが増えている
事業活動をしていると思わぬ不祥事が発生し、損害賠償金が発生します。
最近では、次のような不祥事が話題になりました。
- 東芝の不正会計問題
- オリンパスの損失隠し問題
- タカタ製の欠陥エアバック問題
- 東洋ゴム工業の免震ゴムのデータ改ざん問題
- 横浜のマンションの傾き問題
言われると思い出しますが、忘れていたものもあるのではないでしょうか。
細かいものを含めると、もっとあるでしょうが、割愛します。
契約内容で税目が変わる損害賠償金
まず、筆者は芸能関係について疎いため、広告契約のイロハについて分からないことを前提とします。
その上で検討しますが、広告契約が企業とタレントが所属する事務所の間で契約された場合は、損害賠償金の税目は法人税(と消費税)になります。
しかし、広告契約が企業とタレント個人で契約された場合は、損害賠償金を支払うタレントは所得税(と消費税)が適用され、損害賠償金を受け取る起業は法人税(と消費税)が適用されることになります。
損害賠償金に対する会社の処理
損害賠償金について会社の経理では、『損金または益金』として処理します。
損害賠償金については、支払側は『特別損失』を計上し、受取側は『特別利益』を計上します。
財務諸表では、支払側は『特別損失』、受取側は『特別利益』の区分に表示されます。
計上時期は法律で決まっていませんが、一般的に損害賠償金の金額が確定した時点ではないでしょうか。
なお、受取側が損害を計上した時点で、損害賠償金の受取額を計上するという考え方もあるようです。
損害賠償金に対する消費税
原則として、損害賠償金に消費税は課税されません。
消費税が課税される要件のひとつに『対価性があること』があるためです。
損害賠償金は、商品やサービスの取引がないため、対価性が認められません。
ただし、宅配サービスで軽い損害のため、損害賠償金とともに損害を受けた商品も引き渡す場合は、消費税が課税されます。
また、特許などが侵害されて支払う損害賠償金は、サービスの取引があるため、消費税が課税されます。
まとめ:世の中の全ての取引に税金が絡む
ベッキーの不倫騒動やSMAPの解散騒動から、損害賠償金の税金についてまとめました。
芸能ネタなど一見税金に関係なさそうなニュースでも税金は関係してきます。
数学者が世の中かを数式で見るのと同じように、税を仕事にする人は世の中を税金で見ているのかもしれません。