離婚して一番後悔しているのは何でしょうか?やはり生活費など経済面ではないでしょうか?
子供を扶養している人にとっては大変な問題ですが、税金面では離婚して子供を育てている人や所得が少ない人を優遇しています。
これを寡婦控除(男性の場合は寡夫控除)といい、確定申告や年末調整で税金の還付が受けられる制度です。
そこで、離婚して子供を扶養している人や所得が少ない人を税金面から助ける『寡婦控除』についてまとめました。
制度を知らいないために、税金を多く払いすぎている人は、この記事を読んで寡夫控除をしてみましょう。
※この記事は、平成27年分の確定申告時期に記載したものです。その後の改正で記事を訂正した場合は追記として記載します。
寡婦控除とは
寡婦控除とは、配偶者がいない人で、扶養親族がいる人または所得が少ない人を、税金面で援助するための制度です。
寡婦控除には、夫がいない女性のための寡婦控除と、妻がいない夫のための寡夫控除があり、両者で要件が異なります。(以下、統一して「寡婦控除」といいます。)
所得税の計算では、本人の所得金額から所得控除の合計を差し引いた残額に税率を乗じて税金を計算します。
寡婦控除は、所得控除の一種で、原則27万円(特別の寡婦は35万円)を控除することができます。
[参考ページ]
引用┃国税庁ホームページ
寡婦と寡夫で異なる要件
寡婦控除と寡夫控除で要件が異なります。
男女平等の社会が進むと、寡婦と寡夫の要件は統一されると予想されます。
寡婦(女性)の要件
寡婦とは本人が、原則としてその年の12月31日時点で、次のいずれかに当てはまる人をいいます。
- 夫と死別や離婚してから再婚をしていない人(夫の生死が不明を含む)で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人です。この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。
- 夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人です。この場合は、扶養親族などの要件はありません。
なお、上記の両方に該当する人(扶養親族がいて、かつ所得が500万円以下の人)は『特別の寡婦』となり控除額が大きくなります。
寡夫(男性)の要件
寡夫とは本人が、原則としてその年の12月31日時点で、次の三つの要件のすべてに当てはまる人です。
- 合計所得金額が500万円以下であること。
- 妻と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていないこと又は妻の生死が明らかでない一定の人であること。
- 生計を一にする子がいること。
この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。
寡夫(男性)の要件は、「いずれか」ではなく「すべてに」となっていて寡婦(女性)よりも厳しく設定されています。
これは、男性の方が収入が多いという少し古い社会的背景があると思われます。
寡婦控除の控除額
寡婦控除の控除額が次のとおりです。特別の寡婦は通常よりも控除額が大きくなります。
- 寡婦・・・27万円
- 特別の寡婦・・・35万円
- 寡夫・・・27万円
年末調整と確定申告のいずれかで控除できる
寡婦控除は、サラリーマンであれば年末調整で控除できるため、確定申告が必要ありません。
個人事業主や医療費控除などで確定申告が必要なサラリーマンは、確定申告でも寡婦控除が受けられます。
年末調整で寡婦控除を申告する方法
年末調整で寡婦控除を受ける場合は、会社に提出する扶養控除等申告書の扶養親族の下に寡婦の区分があるので、該当する区分に丸を付けておきましょう。
丸をつけておかないと、気付かれないまま調整されてしまい損してしまいます。
確定申告で寡婦控除を申告する方法
確定申告で寡婦控除を受ける場合は、申告書の第二表の寡婦控除の区分にチェックします。
そして、第一表の所得控除の区分には、該当する控除額(27万円または35万円)を記載します。
まとめ:意外と忘れている人が多い寡婦控除
離婚して子供を育てている人や所得が少ない人に向けて、寡婦控除を紹介しました。
年末調整や確定申告書を作成していると寡婦控除を忘れている人が多くいます。
その理由に、寡婦控除自体を知らない人が多いことと、記載場所が小さくて気付かないことが理由にあると思います。
寡婦控除を知っているだけで、税金を減らすことができます。忘れずにチェックしましょう。