税理士が税務署に申告書などを電子申告する場合は、申告書本体はパソコンから送信できるが、別紙などの添付書類は送信できないため書面で提出する必要があった。
税理士にとっては、電子申告と言いつつ、不完全なシステムで気持ち悪い状態が暫く続いていた。
この度、平成27年度税制改正大綱で、平成28年4月以降に申告するものについては、別紙となる添付書類についてPDFによるイメージデータで送信できる改正がされた。
そこで、PDFで添付書類を送信する方法を現時点で分かる範囲でをまとめた。追記情報があれば更新していく。
PDFで送信できる添付書類
平成28年4月時点でPDFで電子申告できる添付書類は次のとおりだ。
送信できる添付書類の対象は拡大予定のため、送信する都度に最新情報を確認したほうが良い。
なお、送信の対象とならない添付書類をPDFで送信しても、申告したことにならないので注意しなければならない。再提出した日が収受日となる。
申告書関係
申請書・届出書関係
- 源泉所得税関係(PDF)
- 法人税関係(PDF)
- 消費税(法人)関係(PDF)
- 間接諸税関係(PDF)
- 酒税関係(PDF)
- 納税関係(PDF)
- 法定調書関係(PDF)
- 電子帳簿保存法関係(法人)(PDF)
- 異議申立・審査請求関係(PDF)
添付書類をPDFで送信する方法
添付書類をPDFで送信する際のポイントは『PDFへの変換方法』と『PDFの送信方法』の2つとなる。
PDFへの変換方法
PDFへ変換する方法は、元データによって2つの方法に分かれる。
エクセルデータなどパソコンに入っているデータをPDFに変換する場合は、Adobeなどのソフトを使ってPDFに変換することになる。
なお、エクセルデータをPDFに変換する場合は、リボンのファイル画面にあるエクスポートからPDFに変換できる。
もう一つの方法は、スキャナを使ってPDFに変換する方法で、収容証明書など紙データをPDFに変換する場合に使用する。
PDFの送信方法
作成したPDFの添付書類を送信する方法には、『同時送信方式』と『追加送信方式』の2つがある。
同時送信方式とは、申告書などを電子申告する際に、添付書類も読み込み同時に送信する方法となる。
追加送信方式とは、まず申告書などを電子申告し、メッセージボックスで受信する受信通知にある追加送信ボタンから添付書類を送信する方法となる。
添付書類の送信可能回数は、同時送信方式の場合は1回のみ送信可能、追加送信方式の場合は10回まで送信可能となる。同時送信方式と追加送信方式は選択式ではないため、併用することもできる。
PDFの送信可能データ容量
添付書類をPDFで送信する場合のデータ容量は次のとおりとなる。
- 送信1回につき16ファイルまで送信可能
- 1ファイル最大1.0MBまで送信可能
- ファイル合計1.5MBまで送信可能
同時送信方式と追加送信方式を併用することで、送信可能となるデータ量は、最大176ファイル、16.5MBとなる。
添付書類をPDFで送信する場合の注意点
今までより便利になるPDF送信だが、次の点は注意しなければならない。
- 電子申告ソフトがPDF送信に対応しているか ※国税庁のe-Taxソフトは対応済み
- 原本の保管 ※PDFで送信しても元データの保存が必要
- 解像度が低くないか ※200dpiを推奨
- 内容が目視できるか
- パスワードを設定しないこと
- 動画データでないこと ※PDFデータのみ
- ウイルスに感染していないこと
まとめ:今後はよりデータ送信の幅が広がる予定
平成28年4月から税務署に申告する添付書類をPDFで送信する方法をまとめた。
PDFで送信できる添付書類の範囲は限定されているが、今後は拡大予定になっている。
また、PDFデータだけでなく、エクセルのCSVデータにも対応する予定らしい。
ITに対応できない税理士にはツライ時代が来るかもしれない。