2016年4月10日の日経電子版の記事でパナマ文書のニュースが発信されました。
パナマ文書と言っても、パナマ諸島からの絵葉書ではありません。
国際的な税金逃れの証拠をしめす文書のことで、パナマにある法律事務所『モサック・フォンセカ』から流出した文書から名付けられました。
そこで、このパナマ文書による税金逃れの手口と日本の課税当局の対応策を紹介します。
とくに、資産家はこの記事を読んで、安易な課税逃れができなくなったことを理解しましょう。
タックスヘイブンを利用した税金逃れ
パナマ文書で話題になったのがタックスヘイブン(日本語で租税回避地)です。
タックスヘイブンとは、先進国の税率に比べて著しく低い税率または無税としている国です。
具体的には、ケイマン諸島やヴァージン諸島など南国のリゾート地が多く、観光以外の産業がないのが特徴です。
税金対策をしようとする企業や資産家は、資産を国内からタックスヘイブンへ移すことで、その資産から生じる利益に対して、本来納税すべき税金を逃れることができます。
では、なぜ課税当局はこれらの状況に対して課税できないのでしょう。
課税されにくい理由
タックスヘイブンを利用した税金逃れが見過ごされてきた理由は、徹底した秘密保持がありました。
そのため、大企業や大富豪の隠し金庫または、ブラックマネーのマネーロンダリングに利用された背景がありました。
今回のパナマ文書も、パナマの法律事務所のパソコンから流出しなければ、ニュースにならなかったっでしょう。
しかし現在は、タックスヘイブンと課税当局の情報交換が行われているため、このようなことは減少しました。
日本の課税当局とタックスヘイブンとの情報交換
日本の課税当局は、タックスヘイブンを利用した税金対策を防止するため、タックスヘイブンと租税条約を結び、盛んに情報交換をしています。
その件数は年々増加していて、今後も増加することが予想できます。
[参考]国税庁から外国税務当局に発した「要請に基づく情報交換」
- 平成18年度・・・165件
- 平成19年度・・・271件
- 平成20年度・・・274件
- 平成21年度・・・315件
- 平成22年度・・・646件 ※前年から2倍以上に増加
引用│国税庁ホームページ
国税庁と情報交換する国
国税庁では、国際的な課税逃れを防止するため、世界中の国と情報交換をする租税条約を結んでいます。
[参考ページ]平成23年現在で租税条約を結ぶ国
富裕層を狙った課税逃れの防止
資産家などの富裕層は、税金対策として、保有する資産を海外に持ち出すことをしていました。
これに対して国税庁では、27年度改正で、国外に持ち出す際に、資産を売ったものとみなして譲渡税を課税する法律を新しくつくりました。
また、国内の資産を、海外に住む親族(非居住者)に贈与や相続する際も、譲渡税を課税する法律を新しくつくりました。
[参考ページ]
引用│国税庁ホームページ
まとめ
パナマ文書で話題になったタックスヘイブンを利用した税金対策の手口と日本の国税庁の対応を紹介しました。
大企業や資産家は税金対策として、安易に資産を海外に移転することが、できなくなったことを理解しなければなりません。
パナマ文書やタックスヘイブンは、サラリーマンのような中間層には縁のない話です。
それでも世の中でこんなに話題になったのは、パナマ文書に各国の政治家や資産家の実名があるからです。
表では世界平和や格差是正と謳う政治家や、ボランティアや財団設立と宣伝する資産家が、裏ではしっかり税金対策をしているのには、がっかりする一方、金持ちはいらぬ心配が多いなぁとも思います。
たとえ脱税じゃなくても脱法には違いないのです。国税庁がんばれ。
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