道尾秀介『月と蟹』読後レビュー
道尾秀介『月と蟹』を読みました。
本作は、第144回直木賞受賞作ということで、期待して読みましたが、色んな意味で期待を裏切られました。
直木賞は娯楽小説の文学賞と思っていたので、ドラマチックな展開を期待していましたが、本作には大きな展開はありません。
娯楽小説というよりも少年少女の心理描写を描いた文学作品に近い雰囲気です。
そして読後感も考えさせられるものでスッキリとはいきません。
道尾秀介氏の作品は何作も読みましたが、どれも他の作家にはない雰囲気があります。
少年少女の心理描写の切り口が独特で、いつもなるほどと思ってしまいます。
『月と蟹』という作品は、ドラマチックな展開はないかもしれませんが、少年少女の大人になる過程の独特の心理描写が細かく描かれていて、ハマる人にはおすすめの作品です。
なお、道尾秀介氏の本作以外の作品は、奇抜なトリックを使ったものが多くあり、どれも楽しく読めます。
ただし、その本質は、少年少女の細かい心理描写にあるように思えます。
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