美容師が独立して開業する場合は、個人事業主として確定申告をしなければなりません。
そのためには、税務署などの各機関に『開業届』などを提出しなければなりません。
そこで、美容院を開業した場合の、提出すべき届出書についてまとめました。
まず前提として、法人or個人?
美容院を開業する場合、まず組織形態を法人か個人事業主かを選択します。
しかしこれは、個人事業主でほぼ決まりと言ってもいいでしょう。
厚生労働省のデータによると、美容院の77%は個人事業主で、残り23%が法人となっています。
法人も23%いますが、この23%の美容院は従業員が20人以上いる大型店となっています。
1人または数人で始める美容院は、ほぼ個人事業主というのが現状です。
必ず提出する届出書
消防庁への防火対象物使用開始届
新しく美容院を開業する場合は、使用開始7日前までに『防火対象物使用開始届』を消防長に提出します。
添付書類には、防火対象物概要表・案内図・平面図・詳細図・立面図・断面図・展開図・室内仕上表及び建具表等があります。
[参考ページ]
引用│東京消防庁ホームページ
保健所への開設届
美容院を開業するには、保健所の検査をパスしなければなりません。
保健所は各市区町村に設置されています。
検査までの流れとしては、[事前の相談 > 書類の提出 > 施設の検査 > 開店]となります。
管理理容師の講習も必要なため、余裕を持った計画が必要となります。
[参考ページ]
引用│品川区ホームページ
税務署ほかへの開業届
開業届は、税務署と都税事務所(市役所)へ各1通ずつ提出しなければなりません。
下記の届出書を含め提出する全ての書類は、提出用と控え用の2部作成し、両方とも収受印を押してもらいましょう。
控え用は、屋号での銀行口座の開設や、補助金の申請の際に、添付書類として使うため、必ず準備しましょう。
開業届は、税務署や都税事務所のホームページからダウンロードできます。
[参考ページ]
引用│国税庁ホームページ
青色申告承認申請書
確定申告書に添付する決算書には、青色と白色があります。
青色申告には、次のようなメリットがあります。
- 赤字を3年間繰り越せる(翌年の黒字と相殺できる)
- 親族への給料が全額経費となる(届け出が必要)
- 事業所得から最高で65万控除できる
ただし、このメリットを受けるためには、次の要件を満たす必要があります。
- 承認申請書を提出する
- 貸借対照表(財産明細)を決算書に添付する
- 複式簿記で帳簿を付ける
白色でも帳簿を付ける義務があるため、どうせなら開業時に青色申告の承認を受けておいたほうがいいです。
[参考ページ]
引用│国税庁ホームページ
従業員を雇用した時に提出する届出書
給与支払事務所等の開設届出
美容院を経営する場合、従業員を一人でも雇用する場合は、税務署に給与支払事務所の届け出をします。
なお、従業員が親族の場合は、この他に『青色事業専従者給与に関する届出』も提出します。家族に対する給与は、この書類を提出しないと経費と認められません。
[参考ページ]
引用│国税庁ホームページ
源泉所得税の納期の特例の承認申請書
従業員に給料を支払う場合は、給与総額から所得税をあらかじめ控除しなければなりません。
控除した所得税は、原則毎月10日までに税務署に納付しますが、この承認申請書を提出することで、半年に1回の納付で済みます。
[参考ページ]
引用│国税庁ホームページ
労働保険
社会保険のうち、労働保険は従業員(パート・アルバイトを含む)を一人でも雇用する場合は、加入する義務があります。
加入するには、労働基準監督署へ行って『労働保険の保険関係成立届』を提出します。
なお、健康保険と厚生年金保険については、美容院を経営する個人事業主であれば、従業員が5人以下の場合は、加入義務はありません。
[参考ページ]
引用│厚生労働省ホームページ
まとめ:届出書を出すことで、情報をもらえるメリット
美容院を開業する場合に、税務署などに提出する届出書をまとめました。
この他にも、ケースによっては、提出する書類もありますが、上記の書類は最低限必要となる書類です。
これらの書類を提出することで、各機関から税務や社会保険に関する情報がもらえます。
経営者として必要な情報のため、届出書は必ず提出しましょう。