美容師が独立するには、開業資金として平均して900万円から1,000万円の費用が必要となります。
自己資金では到底足りないので、融資を申し込むことになりますが、そのときに必要なのが事業計画書です。
事業計画書とは、開業の動機や経験年数・サービスなど、お店と経営者に関する情報を記載しますが、そのなかに、収支の予想も書かなければなりません。
スタイリストとして働いている時は、経営の勉強はしていないため、難しいと感じるかもしれませんが、コツが分かれば誰でも簡単に作成できます。
そこで、これから融資を申し込む美容師のために、未来の収支の算定方法をまとめました。
記事の後半には、数字を入れると簡単に収支計算できるエクセルシートがあります。
事業計画書とは
事業計画書とは、日本政策金融公庫などの金融機関から融資を受ける際に、融資申込書と一緒に提出する書類です。
事業計画書の記載項目は以下のとおりです。
- 創業動機・・・開業の動機「良い物件を見つけたから」など
- 事業経験・・・専門学校や美容院での勤務年数
- 商品・サービス・・・取扱商品・セールスポイント「カット3,500円、ヘッドスパ」など
- 取引先・・・美容院であれば個人100%
- 必要資金・・・開業時の設備投資と当面の運転資金
- 調達方法・・・自己資金と創業融資
- 事業の見通し・・・開業時と軌道に乗った後の収支予測
[参考ページ]
引用│日本政策金融公庫
収支の見通しの書き方
収支の見通しは、開業当初と軌道に乗った後の2パターンを作成します。
2つの違いは、客単価や客数・回転数を変えることで、調整できます。
売上高
客の平均単価(円)×椅子の数(台)×椅子の回転数(回転)×1ヶ月の営業日数(日)
客の平均単価は、サービスの価格をもとに、おおよその金額を見積ります。なお美容院の実態調査のデータによると、4,000円から6,000円が最も多くなっています。
椅子の回転数は、一日に美容椅子が何回稼働するかを見積もります。営業日数は休日を除くため25日前後となります。
(例)4,000円×2台×2回転×25日=400,000円
売上の収支予想のコツは、希望的数値ではなく、現実的な数字を入れることです。そうすることで開業後の資金繰りの悪化を防げます。
経費
経費も項目ごとに一つひとつ見積もります。
算定のコツは、開業後の資金繰りを考慮して、多めに見積もることです。(売上と逆)
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原価
売上高合計(円)×原価率(%)
原価とは、仕入など売上の増加に比例して増える経費をいいます。そのため売上に原価率を乗じて計算します。(平均15%前後)
人件費
従業員数(人)×月額給与(円)
人件費は、従業員数と給与から算定します。個人で美容院を開業する場合は、従業員は0人または1人で始める人が最も多くなっています。
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家賃
家賃は、毎月の店舗のテナント料と共益費の合計額となります。
融資の申込時には、不動産の契約を済ましていることが多いため、契約書から転記できます。
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支払利息
借入金の元本(円)×利率(%)×1/12
”収支の予想=利益の予想”のため、元本の支払いは考慮しません。
また、1ヶ月分の収支のため、12等分して毎月の支払利息を算定します。
その他
その他の支払いは、水道光熱費・少額の備品・広告(ホットペッパービューティー)など毎月発生する支払いを見積もります。
無料エクセルシートのダウンロード
上記の計算要素をまとめたエクセルシートを作成しました。
下記のフォームを入力して、ダウンロードページから取得してください。
まとめ:収支の予想は誰でもできる
事業計画書の収支の見通し欄の書き方をまとめました。
作成のコツは、『店の明確なビジョンを持つこと』と『現実的な数字で作成すること』です。
エクセルシートをダウンロードして、収支を予想してみましょう。