伊坂幸太郎の『死神の浮力』を読みました。
前作『死神の精度』に続く続編です。前作が6作の連作短編でしたが、今作は1つの長編です。
あらすじと感想
死神の千葉さんは、仕事として死ぬ直前の対象者に7日間一緒に過ごし、生死の可否を判断します。
千葉さんは、次の特徴があり、その要素一つひとつが物語の絶妙なアクセントになります。
- 音楽(ミュージック)をこよなく愛する
- 受け答えがズレる ※参勤交代と渋滞など
- 素手で人に触らない
- いつも雨が降っている
- 苗字が地名
本作も千葉さんが、山野辺さん夫婦と過ごす7日間のお話です。
伊坂幸太郎作品の特徴である軽妙な会話は、本作も随所に見られますが、他の作品よりも少し重いお話になっています。
人の死がテーマになっていると思われ、登場人物それぞれ死生観が語られています。
それでも、他の作品と同様に、少しずれた会話と、鋭いツッコミも見られ、後半はいつもの伏線回収と清々しい読後感が楽しめる作品でした。
死神の浮力の名言
千葉『晩年も悪くなかった』
千葉『誰でも死ぬ』
山野辺の父『先に行って、怖くないことを確かめてくるよ』
山野辺『菜摘の勝ちだ』
山野辺の妻『負けるわけがない』
山野辺『怖いけれど、怖くないです』
箕輪くん『労災、下りませんかね』
千葉『ラジオはどこだ』