給与を支払う際に、住民税を源泉徴収しているでしょうか?
会社の事務負担を軽くするために、普通徴収にしていませんか?
東京都では、平成29年度から従業員の個人住民税の納付方法を、特別徴収に徹底することが決まっています。
これからは、給与支払報告書に『普通徴収希望』と赤書きできなくなります。
そこで、東京都の個人住民税の特別徴収についてまとめました。
なお、東京都以外の市区町村でも、特別徴収の徹底が進んでいるので、確認してみましょう。
個人住民税とは行政サービスへの対価
個人住民税は、所得税とは別に、住んでいる市区町村に納税する税金です。
その目的は、市区町村が行う行政サービスの対価という側面があります。
一般的には、『都民税』『市民税』『県民税』などを合わせて『住民税』と呼びます。
納付方法は2種類
個人住民税の納付方法は、『特別徴収』と『普通徴収』の2種類です。
特別徴収は給与から住民税をを天引きし事業主が納付する方法をいい、普通徴収は従業員本人が納付する方法です。
平成29年度から、従業員として働いている人の個人住民税は、原則として事業主が納付する特別徴収に徹底されます。
なお、従業員が10人未満の事業所は、事業主が申請すれば、所得税の源泉税と同じように、半年に1回の納付にまとめることができますが、原則は毎月納付となります。
[参考ページ]
引用│東京都主税局
平成29年度から特別徴収を徹底
これまでも従業員の個人住民税は、特別徴収が原則でしたが、徹底されていませんでした。
1月に市区町村に提出する『給与支払報告書』に『普通徴収希望』と書くと、事業主ではなく、従業員の自宅に納付書が届き、本人が納付するシステムでした。
しかし平成29年度からは、従業員の住民税は、特別徴収が徹底されることになりました。
特別徴収が進まなかった理由
特別徴収が進まなかった理由の一つには、次のことが考えられます。
- 従業員の入社と退社が多い
- 事務負担が増える
- 源泉徴収しても事業資金として使ってしまい納付できない
これからは、上記のような理由による普通徴収の選択ができなくなります。
パート・アルバイトも特別徴収の対象となるため、入社と退社が多い事業所では、市区町村への報告書類の提出が確実に増えます。
また、従業員が特別徴収と普通徴収を自由に選択することは出来ません。
普通徴収が例外的に認められる人
かなり徹底される特別徴収ですが、次の人は例外的に普通徴収を選択できます。
- 事業所の総従業員数が2人以下
- 他の事業所で特別徴収している
- 給与が少なく税額が引けない
- 給与の支払が不定期(例:給与の支払が毎月でない。)
- 事業専従者(個人事業主のみ対象)
- 退職者又は退職予定者(5月末日まで)
- 休職等により4月1日現在で給与の支払を受けていない
個人住民税の手続きの流れ
- 年末調整
- 年税額を計算して還付または不足分を徴収
- 市区町村へ報告
- 年末調整の結果を給与支払報告書で市区町村に報告
- 個人住民税の通知
- 5月末までに市区町村から給与から天引きする住民税が通知される
- 源泉徴収
- 所得税と同じように、給与から個人住民税を毎月源泉徴収する
- 毎月納付/半年納付
- 源泉徴収した個人住民税を毎月または半年に1回納付
まとめ:小さい個人事業主とパートが多い法人は注意
東京都の特別徴収が徹底されることについてまとめました。
美容室など個人で経営している事業所や、テレアポなどパート従業員を多く抱える法人は、給与の事務負担が増えることを想定して準備しておく必要があります。
これまで自社で給与計算と事務を行っていた事業所も、給与計算業務だけ外注に出すことが必要かもしれません。