直木賞作家である葉室麟の『銀漢の賦』を読みました。
蜩ノ記で直木賞を受賞した同氏の、受賞数年前の作品で、この作品で松本清張賞を受賞しています。
同氏の作品は、数冊読んでいますが、どれも武士の生き様や人間の素晴らしさを描いたさわやかな作品ですが、銀漢の賦も素晴らしい作品でした。
あらすじと感想
月ヶ瀬藩の武士源五(げんご)は、名家老で幼なじみの将監(しょうげん)と、同じく幼なじみで農民の十蔵(じゅうぞう)が起こした事件を原因として絶縁していた。
しかし、月ヶ瀬藩の内部での勢力争いをきっかけに、二人の運命が大きく動き出す。という時代小説です。
この作品で面白かったのは、源五、将監、十蔵という幼なじみが、それぞれ性格が違うものの、全員が真っ直ぐで信念があることです。
性格の違いや階級の違いで、成長につれて別々の人生を歩み、それぞれの事情に翻弄されますが、信念という共通点で結ばれていることが分かります。
同氏の作品に共通することですが、どの作品も文章に無駄がなく結末に向かっていくためテンポよく読めます。それでいて登場人物の背景や性格も伝わってくるので、時代小説が苦手な人にもオススメです。