美容室の開業には平均1,000万円弱の資金が必要になり、自己資金では当然不足するため融資を申し込むことになります。
その際、融資の申込先として銀行や信金、日本政策金融公庫などの金融機関がありますが、はじめて開業する人にとっては、それぞれの違いや特徴が分かりません。
そこで、これから開業する美容師のために、銀行や信金などの民間金融機関と日本政策金融公庫の違いを紹介します。
日本政策金融公庫は100%政府出資
日本政策金融公庫は、政府が100%出資している金融機関という点で、銀行や信金などの民間の金融機関と大きく異なります。
前者は利益の追求の他に、『日本経済の発展』や『地域経済の活性化』などの公共的な目的もあるため、これから開業しようとする人にも積極的に融資してくれるのが特徴です。
また、美容室などこれから開業する個人事業主に対して、条件面で優遇されている融資制度があるのも特徴です。
その反面、政府の方針に影響を受けやすい面があります。
2016年時点ではアベノミクスによる影響で、『開業率をアメリカ並の10%を目指す』『クラウドファンディングの整備』など独立開業を目指す人にとって追い風となる方針が打ち出されています。
[関連記事]
しかし民間金融機関でも、創業融資をしてくれないわけではなく、保証協会を利用した制度融資などもあります。(記事中程を参照)
なお、両者の細かい違いとして、日本政策金融公庫の場合、民間金融機関と違い、その金融機関の口座を開設する必要はありません。
[参考ページ]
信用保証協会が保証してくれる制度融資
銀行などの民間金融機関でも、事業実績がない人に対して融資をする制度があります。それが『制度融資』と呼ばれるものです。
銀行から融資を受ける場合、通常だと事業実績がないと融資が受けづらいですが、信用保証協会が融資の保証をしてくれることで、事業実績がない事業主でも融資が受けやすくなる制度です。
ただし、注意しなければならないのは、制度融資でも必ず融資を受けられるわけではないこと、融資の返済とは別に、信用保証協会に保証料を支払う必要があることです。
また、仮に資金繰りが悪化し、融資の返済ができなくなった場合、信用保証協会が代わりに弁済してくれます。
しかし、融資を受けた人は、今度は信用保証協会へ融資の返済をしていくことになります。決して債務が免除されるわけではありません。
[参考ページ]
銀行から直接借りるプロパー融資
さいごに、信用保証協会を通さず、直接銀行から融資を受ける『プロパー融資』というものもあります。
これは、融資の申込前から既に、銀行との取引実績があり、銀行との信頼関係がある場合に利用できます。たとえば、住宅ローンを借りていて返済も滞っていない場合などが考えられます。
信用保証協会を通さないため、保証料がいらないメリットがあります。ただし、信用がないと融資を受けられないため、はじめて開業する人にはハードルが高い融資となります。
まとめ:特徴を知って創業融資を受けよう
これから創業融資を申し込む人のために、銀行と日本政策金融公庫の違いや、融資の特徴について基本的なことを紹介しました。
- 日本政策金融公庫の融資
- 信用保証協会を利用した制度融資
- 銀行から直接借りるプロパー融資
上から順にハードルが低くなります。それぞれの金利や担保、保証人、保証料などの条件面を考慮し、創業融資を使い分けましょう。