個人事業主として美容室や整体を開業すると、確定申告のために自分で会計ソフトに日々の取引を入力している人もいると思います。そんな会計入力の初心者にとって、最初の壁は源泉所得税の入力方法ではないでしょうか。
従業員への給与や税理士への報酬の支払時に、源泉所得税を天引きして残額を支払う取引ですが、会計ソフトへの入力でそれをどうやって反映させればいいのか混乱すると思います。
そこで、開業したばかりの経理初心者のために、源泉所得税を天引きした場合の仕訳の方法を紹介します。
そもそも源泉所得税とは
源泉所得税とは、本来であれば、支払いを受けた人が税金を納める義務があるところを、給料や報酬などを支払う側が支払金額から予め天引き(源泉徴収)して、本来の納税者に代わって納める制度です。
[参考ページ]
タックスアンサー№2792│国税庁ホームページ
サラリーマンは、この制度のおかげで、本来確定申告すべきところを、申告する義務を免除されています。(年末調整はありますが)
経営者は、徴収した源泉税をまとめて、原則として翌月10日に毎月納付しますが、従業員が10人未満であれば、届出書の提出で7月10日と1月20日の半年に1回にまとめることができます。美容室などの個人事業の従業員は平均2,3人なので特例を選択すると、経理を少し楽にします。
ただし、カメラマンやデザイナーへの報酬は、特例の対象外のため、翌月10日までに納付しなければなりません。
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諸口を使った源泉所得税の仕訳方法
源泉所得税の仕訳方法には、諸口を使う方法と使わない方法があります。会計ソフトによっては諸口がなく、振替伝票で入力する方法かもしれません。
[給与]
給与 200,000円 / 諸口 200,000円
諸口 4,770円 / 預り金 4,770円
諸口 195,230円/普通預金 195,230円
[税理士への報酬]
支払手数料 100,000円 / 諸口 100,000円
諸口 10,210円 / 預り金 10,210円
諸口 89,790円 / 普通預金 89,790円
諸口を使う場合は、相手の勘定科目が常に諸口になります。源泉所得税を預り金で処理し、残額を現預金から支払います。
なお、源泉徴収すべき金額は、支払内容や支払金額によって異なるので、国税庁ホームページを参考にしましょう。
[参考ページ]
引用│国税庁ホームページ
諸口を使わない源泉所得税の仕訳方法
諸口を使わないで会計処理する場合は、次のようになります。
[給与]
給与 200,000円 / 普通預金 200,000円
普通預金 4,770円 / 預り金 4,770円
[税理士への報酬]
支払手数料100,000円/普通預金 100,000円
普通預金 10,210円 / 預り金 10,210円
諸口を使わない場合は、普通預金を諸口の代わりに使います。借方(左側)と貸方(右側)の普通預金が相殺されるため、普通預金が減少する金額は、諸口を使う場合と変わりません。
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まとめ:仕訳方法が違っても支払金額は同じ
源泉所得税を天引きした場合の仕訳方法を、諸口を使う場合と使わない場合の2種類紹介しました。
結果としてはどちらの方法も変わらないので、好みの方法で仕訳してみてください。あくまでも、これは好みの問題です。
なお経営者は、源泉徴収する義務があるため、源泉徴収を忘れたり、納付を忘れると罰金もあり得るので注意しましょう。(源泉徴収義務違反)