美容室や整体を開業した個人事業主の皆さんは、家事用の通帳とは別に、事業用の通帳を持っているでしょうか?
もし、まだ開設していない場合は、最低1つは事業専用の銀行口座を作ることをオススメします。また、これから開業する美容師や整体師は開業したらすぐに事業用の口座を作ることをオススメします。
そこで、美容師や整体師など個人事業主のために、事業用の銀行口座を持つメリットと、口座の開設に必要なことを紹介します。
事業用の口座を開設するメリット
個人事業主の場合、屋号(『美容室◯◯』や『△△整体院』などの店舗名)を名義にした口座を開設しなくても、開業前から持っている家事用(プライベート用)の通帳を事業用として利用できます。しかし、それでも事業用の通帳を持つメリットとしては、次の理由があるからです。
資金繰りの把握が簡単にできる
美容室など現金商売であれば、手持ちの現金と通帳の残高の合計額が、開業資金と過去からの利益(売上-経費)の合計とほぼ一致するため、キャッシュフロー計算書を作らなくても、事業用の通帳を持つだけで資金繰りの把握ができます。
手持ち現金 + 通帳残高 ≒ 開業資金 + 利益の累計
しかし、家事用の通帳を事業用として使っていると、支出する金額に経費以外のプライベートの支出も含まれることになり、残高を見ても黒字なのか赤字なのかわかりづらくなります。
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社会的信用を上げる
個人事業主の法人化の目的のひとつに信用度のアップがありますが、これは通帳の名義にも当てはまります。
請求書に記載する振込先口座に個人名義ではなく、屋号名義にすることで、多少ですが事業としての信用度が上がります。
小さいことですが、開業したばかりの人は実績がないため重要です。
青色申告での報告義務
個人事業主の確定申告では、最高65万円の節税効果がある青色申告を選択している人も多いと思います。
この青色申告の要件のひとつとして、確定申告書に添付する青色申告決算書に、財産の残高を記載した貸借対照表(B/S)の添付があります。
家事用の通帳を事業用として使っている場合は、事業資金の残高だけでなく、プライベートを含めた個人資産の残高も報告することになります。
会計ソフトへの入力が簡単になる
確定申告のために会計ソフトに経費を入力するときに、水道光熱費が店舗のものか自宅のものかで迷ったことはありませんか?
家事用の通帳を併用していると、入力ミスに繋がることがあります。
そこで、通帳を予め事業用に分けておき、水道光熱費を自動引落に設定しておくことで、入力ミスを減らし確定申告の作業が楽になります。
なお、取引先によっては、一度設定した口座の変更ができなこともあるため、開業後はできるだけ早い時期に、事業用の口座を開設しておいた方がいいでしょう。
現金商売での屋号名義の口座のメリット
事業用の口座を作るメリットは分かってもらえたと思います。
次に、美容室や飲食店など現金商売で、屋号名義の口座を開設するメリットですが、それほど多くありません。
法人ではなく個人事業主であれば、個人名義の口座でも事業用に利用できますし、屋号名義の口座を作る手続きは少し面倒になるからです。
また、請求書を発行して入金してもらうわけではないので、上記の社会的信用というメリットが活かせません。
事業用の口座を選ぶ基準
事業用の口座を選ぶ基準は、『入金の手間の少なさ』と『振込手数料の安さ』があります。
美容室など現金商売では、日々の売上が現金のため、入金作業が必要となります。安全性から手元に多額の現金を置いておきたくない場合は、店舗に近い銀行が安心です。また、ジャパンネット銀行のように、コンビニATMから入金できるネット銀行もおススメです。
また、毎月の振込先が多い業種は、振込手数料料が比較的安いゆうちょ銀行やネット銀行がおススメです。
なお、確定申告書に記載する還付金口座については、一部のネット銀行が使えないため、注意が必要です。
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口座の開設に必要なもの
個人事業主として事業用の口座を開設する場合は、必要書類が銀行によって異なるため確認が必要です。
[参考ページ]
引用│ジャパンネット銀行
屋号名義の口座の場合は、税務署へ提出した開業届など開業を証明する書類が必要となるケースがあるため、開業してからでないと開設できないこともあります。
また、法人のように登記簿や定款があるわけではないため、運転免許証などの身分証明書も必要となることもあります。
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まとめ:個人だからこそ必要な事業用の口座
個人事業主が事業用の口座を開設するメリットや、必要書類について紹介しました。
個人で事業をすると、サイフは同じであっても、お金を事業用と家事用に色分けする必要が出てきます。
そんなときに、事業用の通帳を作ることで、お金の色分けが簡単になります。これから開業する人は参考にしてみてください。誰でも簡単に開設できます。