冲方丁の光圀伝を読みました。
冲方丁の作品では映画化もされた天地明察を読んでいましたが、それとは少し違う重厚な作品で、江戸時代の徳川御三家の一人である水戸光圀の一生を描いた自伝的小説です。
水戸黄門というと、ドラマの水戸黄門を思い浮かべると思いますが、本作ではドラマのイメージとは180度違う黄門様が描かれています。当然ですが助さん格さんも登場しません。
新しい水戸光圀を知りたい人にオススメの一冊です。
あらすじと感想
時代は、江戸幕府の初代の徳川家康の死後、三代目の家光から綱吉までを描いています。歴史小説ですが難しい表現はないため、700ページを越える長編ですが、サクサク読めます。
ドラマの水戸黄門といえば白いお髭のお爺さんで、助さん格さんを従えて悪者を懲らしめながら日本全国を旅するイメージですが、この作品では、少年時代や青年時代に江戸の遊郭に通ったり、浪人を斬り殺したり荒々しい光圀象となっています。
水戸の藩主となってからは、江戸の大火(大火事)の様子や、兄の子供を世子に据えるお家騒動、明の学者を招いてラーメンやワインを食する場面がでてきます。
小説に出てくる基本的なことは歴史的な事実だと思いますが、人物の心情や細かい描写は脚色しているので、エンターテイメントとして面白く読めます。(宮本武蔵や沢庵和尚も登場します)
というのも、小説の中の水戸光圀は、兄の子どもを次の藩主に据えるなど義を大事にし、市民からの人気者として描かれていますが、別の情報では、財政赤字のなかで史書編さんを推し進めたり、蝦夷(今の北海道)に探検に行ったり、かなりわがままで財政赤字の張本人という見方もあります。同じ人物でも見方によって評価が変わる最たる例だと思います。
それでも一つの側面として、水戸光圀を知るには、とても読みやすく楽しく読めました。ドラマの水戸黄門と違う光圀像を知りたい方にはオススメの一冊です。
実際と違う水戸光圀
日本全国を旅していない
ドラマの水戸黄門では、日本全国を旅していますが、実際はしていません。
大日本史の編纂のために、日本に点在する資料を収集するために、家臣が歩き回った逸話が広がって、光圀自身が旅をしたということになったようですね。(小説では・・・)
黄門とは中納言の別称
黄門というのは、中納言の別称のことを言うみたいです。
また小説では、光圀が明の学者である朱舜水の死の間際に、『黄泉の国にても門下に入りたい』という言葉をかける一節が出てきます。(言葉遊びかな)
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