原田マハ『キネマの神様』を読みました。
タイトルの通り映画にまつわる小説です。
読み終わった後はスッキリとして気持ちよく、読後感がさわやかです。
そして、DVDやダウンロードではなく、実際に足を運んで映画館で映画を見たくなる小説です。
映画好きな人にはオススメの一冊です。
あらすじと感想
主人公の歩はキャリアウーマンで、大手企業のシネコンのプロジェクトリーダーでしたが、部下の足の引っ張りもあり半ば追われるように会社を去リます。
一方、歩の父は、映画とギャンブルを愛する自由気ままなおじいさんですが、ある映画サイトに気まぐれで娘の映画評論を投稿したのをきっかけに、歩は編集者として『映友』に採用されることになります。
しかし、採用された『映友』の経営は厳しい状態。そんななか採用のきっかけとなった映画サイトへの投稿をヒントに、おじいちゃんの映画ブログを開始します。
すると、ブログが思わぬ展開を見せ、奇跡を呼ぶことになります。
内容自体は、奇跡のストーリーですが、その裏側には、映画館に行かなくなった人たちや、小さい劇場の経営難、出版不況、DVD販売を見越した映画製作など、映画にまつわる暗い背景も描かれています。
感想としては、起承転結がしっかりとしていて、とても読みやすい作品でした。また、実在の作品名や俳優が登場するので親近感がわきます。
ミステリーではありませんが、きれいな終わり方で、まるで本当に2時間半の映画を見たような印象を受ける小説です。
原田マハさんの作品は、楽園のカンヴァスに続いて2作目ですが、読んでいて気持ちのよい作品と印象です。この他の作品も読んでみたいと思います。