開業時に銀行や信金から創業融資を受ける際に、信用保証協会に信用保証料を支払うことがあります。
信用保証料を支払うことで、万が一返済ができなくなった場合に、本人に代わって金融機関に返済してくれます。
保証料の金額は、借入総額と返済期間で変動しますが、一般的に数十万円を借入時に一括で支払います。
そこで、これから美容室や整体を開業するオーナーのために、信用保証料の基本と経理や消費税についてまとめてみました。
信用保証料の基本
信用保証料とは、銀行や信金などの金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会に支払う保証料のことをいいます。
信用保証料を支払うことで、万が一返済ができなくなった場合でも、信用保証協会が本人に代わって金融機関に返済してくれます。(代位弁済といいます。)
注意したいのは、代位弁済後は返済を免除されるわけではなく、本人は信用保証協会に返済していくことになります。
[参考ページ]
引用│東京信用保証協会
信用保証料の金額は『借入総額』『返済期間』『保証料率』によって変動し、各要素が増えるほど保証料の金額も増えます。
なお、下記サイトでは、信用保証料の概算をシュミレートできるので、興味のある方は試してみましょう。
[参考ページ]
引用│神奈川県信用保証協会
信用保証料の経理処理
信用保証料は、支払時は資産として計上し、借入期間にわたって経費(費用)として配分していきます。支払時に一括で経費にすることは原則としてできません。
使用する勘定科目は、資産科目として『前払費用』や『繰延資産』を使い、経費の科目として『保証料』『支払手数料』『支払利息』などを使います。
たとえば・・・
信用保証料 30万円
借入期間 5年(60ヶ月)
当期の月数 12ヶ月だとすると、経費は6万円(30万円×12ヶ月/60ヶ月)となります。
開業前に支払った信用保証料
開業前に創業融資を受け信用保証料を支払った場合でも、繰延資産または前払費用として処理します。
開業前に支払ったものは開業費に計上できますが、固定資産や前払費用に該当するものは対象外となるため注意しましょう。
なお、美容室の開業費については、『開業2年目以降の節税になる美容室の開業費の具体例9つ』を参考にしてみてください。
信用保証料の仕訳例
信用保証料の処理を仕訳で表すと、次のようになります。
支払時
預金 700万円 / 借入金 700万円
繰延資産(前払費用)30万円 / 預金 30万円
毎月の返済時
借入金 12万円 / 預金 12万円
支払利息 1万円 / 預金 1万円
決算時
保証料 6万円 / 繰延資産(前払費用)30万円
※保証料以外の科目でもOK
信用保証料の消費税
信用保証料の消費税は、非課税となるので、課税仕入にしないように注意しましょう。
非課税の性格としては、利息と同じ区分となるため、勘定科目で『支払利息』を使用することもあります。
なお、美容室など個人事業主の創業融資で信用保証料を支払った場合は、そもそも消費税の納税義務がない可能性があります。
美容室の消費税については、『3分でわかる美容室の消費税の納税義務と簡易課税の基本』を参考にしてみてください。
まとめ:開業時の処理に注意
これから創業融資を受ける個人事業主のために、信用保証料の基本と経理処理についてまとめました。
経理処理のポイントは、一括で支払ったとしても、一括で経費にせず借入期間で費用に按分することです。また、開業前に支払ったとしても開業費に含めないことです。
開業時は固定資産や前払費用など分かりづらい経理処理もあるため、美容室や整体のオーナーさんは、参考にしてみてください。