開業を目標とする方にとって、悩むのが『開業のタイミング』ではないでしょうか?
どんなに技術に自信があっても、開業に必要な要素が足りないと、事業に失敗したり、軌道に乗るまで時間が余計にかかったりします。
飲食店のように、開業してもすぐに廃業すると言われる業種の背景には、『自信』と『勢い』など抽象的な指標だけで脱サラして開業したケースが影響しているように思えます。
そこで、美容室や整体など、これから開業を目指す方のために、客観的な指標による開業のタイミングをまとめてみたので、参考にしてみてください。
〔1〕技術力・勤務経験
独立や開業で必要となるのが『技術力』です。美容室や整体で開業するには資格を持っているのは当然ですが、その上で一人前である『技術力』が必要となります。
『技術力』や『一人前』というと、漠然としてイメージしづらいですが、勤務経験で換算すると6年から10年と考えるとわかりやすくなります。
もちろん1年2年の勤務で開業して成功する方もいます。それでも開業する業種で6年以上勤務することで、後輩の指導・税金や財務の知識など、技術力以外の経営面での知識も得られるメリットがあります。
〔2〕自己資金・創業融資
開業して最も苦労するのが運転資金です。日本政策金融公庫のデータでも開業時にもっと考えておけばよかったことの1位が資金繰りとなっています。
そこで重要なのが『自己資金』です。自己資金が不足すると開業後の運転資金が不足する可能性がありますし、金融機関からの創業融資も受けづらくなります。
自己資金の目安を数字でいうと、内装工事や設備費用と半年分以上の運転資金を合計した開業資金の3分の1は自己資金で負担できると安心です。
どんなに自信があり、自己資金0で開業しても、すぐに軌道に乗るとは限りません。勢いで開業を急ぐよりも勤務経験を積みながら自己資金を貯めるのも成功への近道かもしれません。
〔3〕やる気と体力・若さと覚悟
開業してもすぐに軌道が乗るとは限りません。軌道に乗るまで半年かかる方もいれば、一年以上かかる方もいます。
そこで必要になるのが『やる気と体力』です。客観的な数字でいうと、年齢が30代から40代で、健康上の不安がないことです。
20代で開業して成功する方もいますが少数です。技術力や自己資金など他の要素も考慮すると30代から40代が気力と体力が充実している頃です。
また、開業してなかなか売上が上がらない時期でも、ストレスに耐えられる精神力や覚悟が必要ですが、これに関しては数字では表せない要素です。
まとめ:精神論に頼らない開業のタイミング
開業のタイミングに必要な要素を、客観的な数字でまとめてみました。
脱サラでイメージされやすい『勢い』や『自信』など曖昧な要素で開業のタイミングを決めるのではなく、『勤務経験』『自己資金』『年齢・健康』など客観的な数字で開業のタイミングを決めてみてはいかがでしょうか。
なお、開業するタイミングを決める要素は、この他にもたくさんあり(人脈・立地・運・・・)人によってそれぞれだと思いますが、ひとつ見方として参考にしてもらえれば幸いです。