あなたが美容室が開業するなら、避けては通れない道があります。それが「税金」と「社会保険」です。
税務署や役所から指摘を受けないためにも、正しい知識を身につける必要があります。
そこで、給与所得だった独立前から、個人事業主となる独立後で必ず知っておいて欲しい「税金」と「社会保険」の違いについて解説します。
この記事を読んで、正しい手続きができるようになってください。
税金編
開業届を出さないと始まらない
独立してまず税務署に提出する書類が「開業届」です。開業届を出さないと税務署が事業を開始したことを知ることが出来ません。
提出を忘れると、税金や申告のお知らせが届かないため、必要な申告や報告を忘れる可能性があります。
そのまま何年も経過した後に、税務署から指摘を受けて、過去の税金と罰金(利子税や無申告加算税など)を払うことがないように、忘れずに提出しなければなりません。
開業届のほかにも提出する書類がいくつかあり、なかには提出することで税金を減らせるものもあるため、必要な書類をチェックすることが必要です。
開業時の届出書ついては、『美容院の開業1年目に税務署等に提出すべき届出書まとめ』を参考にしてみてください。
確定申告は自分で計算
独立前と独立後で大きく違うのが、確定申告ではないでしょうか。給与であれば年末調整で税金の計算は基本的に完了します。※医療費控除などで確定申告をする場合もありますが。
独立すると、決算書をまとめて確定申告書を作成しなければなりません。そして自分で税金を納付しなければなりません。もちろん税理士さんにお願いすることもできますが、自分で作成する方もいます。
所得税の確定申告書を提出すると、そのデータは市区町村にも通知されるため、自動的に住民税や健康保険料も計算されます。つまり、確定申告書の提出を忘れると自動的に他の税金や社会保険料も計算できないことになります。
なお、確定申告については『美容室の確定申告を2倍早くするする5つの準備のコツ〔2016〕』を参考にしてみてください。
所得税以外の税金
独立前は税金が給料から天引きされていたので、納税している感覚がなかったのではないでしょうか。(手取りが減るなぁくらいの感覚だったと思います。)
しかし独立すると、次のような税金が発生し、それを自分で納付することになります。
- 所得税・・・一年間の所得に対して課税される個人の税金
- 消費税・・・消費税の納税義務がある場合のみ課税される税金
- 個人事業税・・・一定額以上の事業所得がある場合に課税される個人の税金
- 個人住民税・・・住んでいる市区町村が課税する税金
- 償却資産税・・・固定資産税の一種。内装工事や設備に課税される税金
社会保険編
年金の種類が変わる
社会保険料は、年金と健康保険料に大きく分けられます。独立して大きく変わるのは、『法人の従業員から個人事業主』になる場合です。
法人の従業員の場合、年金は「厚生年金」、健康保険は「健康保険」に入っていると思いますが、独立すると年金が「国民年金」・健康保険が「国民健康保険」に変わることになります。
独立して年金の種類がかわるときは、市区町村役場の年金課で手続きをする必要があります。
また、法人の場合は、保険料の半額を会社が負担してくれますが、独立すると全額自己負担となるので、負担の増加を知らないと驚くことになります。
手続きは、役所の方に教えてもらいながら自分でできます。筆者も印鑑持参で独立時に何回か通いながら自分で手続きしました。最近の役場は土曜日も対応してくれるので便利です。(地域にもよりますが)
従業員の社会保険
事業を開始して従業員を雇用すると、従業員の労災保険や雇用保険に加入する必要があります。
自営業の美容室など業種によっては、厚生年金や健康保険への加入が任意ですが、労災保険や雇用保険は原則加入義務があります。
労災保険は業務上の事故などに対応する保険で、雇用保険は失業手当に対応してくれる保険ですが、これは事業主が保険料を一部負担する必要があります。
労働基準監督署や年金事務所(ハローワーク)で手続きしますが、手続きが不慣れな場合や時間がない場合は、社会保険労務士さんにお願いすることもできます。
まとめ:独立すると大きくかわる税金と社会保険
独立前と独立後で大きくかわる「税金」と「社会保険」について解説しました。
どの手続きも必要なことで、忘れたままでいると、後々トラブルになる可能性もあるため、しっかりとした準備が必要となります。
この記事を参考に、正しい手続きをしてみてください。
時間的な余裕がない場合や、金銭的な余裕がある場合は、税理士や社会保険労務士にお願いするのも一つの手段です。