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読書日和│東山彰良『流』~台湾日本中国を舞台にした青春小説~

投稿日 : 2017年2月10日 / 更新日 : 2017年2月10日

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東山彰良『流』を読みました。

第153回の直木賞を受賞した作品で、帯には『20年に一度の傑作。とんでもない商売敵を選んでしまった』(北方謙三)
『私は何度も驚き、ずっと幸福だった。これほど幸せな読書は何年ぶりだ?』(伊集院静氏)とあるので、かなり期待して読みました。

結果としては、とてもおもしろく、青春小説としては、これまで読んだ中でも最高の一つだと思いました。
漢字の読み方で戸惑いますが、それさえ慣れれば、ハマると思います。特に後半はスゴイ!

読書日和│東山彰良『流』

あらすじ&感想

舞台は、1975年の台湾。葉秋生(イエ チョウ シェン)の祖父が何者かによって殺される。

祖父を含む葉一家は、国共内戦で中国大陸から台湾に流れきたルーツを持つ。

秋生は台湾で、恋・受験・幽霊騒動・ケンカ・徴兵・抗争といった青春時代を過ごすが、その根底には常に祖父の死があった。

秋生の成長とともに、舞台は日本・中国へと流れ、徐々に祖父のルーツや、家族の歴史、国共内戦の背景などが明らかになっていく。

 

読んでみるとわかりますが、登場人物が台湾人なので、漢字の読み方が独特で読むのに戸惑います。しかし、それに慣れると個性的で魅力的なキャラクターが多く、どんな顔をしているか想像できるぐらいになります。映画化された場合のキャストを想像したくなります。

また、14個の章とプロローグとエピローグで構成されており、一つひとつの章が完結しているため、とても読みやすくなっています。短編としての読みやすさと、長編としての重厚さが共存していて読み応えがあります。

青春小説では、百田尚樹の『錨を上げよ』を読みましたが、本作では日・中・台の戦争の歴史が背景にあり、それに翻弄された家族の悲しくも力強い歴史があり、違ったおもしろさがあります。『錨を上げよ』が1400ページを越える作品に対して、本作は無駄な描写がなく、全てが後半で意味を持つものとなっています。

一度読み終わると、もう一度頭から読み直して、他の登場人物の発言の本当の意味や裏の背景を想像してみたくなる作品です。
是非、映画やドラマで映像化して欲しい作品です。

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