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美容室オーナ必見│個人事業主の法人成りの手続きまとめ【保存版】

投稿日 : 2017年2月27日 / 更新日 : 2017年3月5日

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美容室など個人事業主として開業し、軌道に乗ったタイミングで法人に組織変更することを『法人成り』といいます。※法人として設立して開業することは法人成りとは言いません。

事業内容は設立前と同じため法人成りを簡単に考えているかもしれません。しかし、法人を作るということは、個人の人格とは別に法人格という新しい人格を誕生させるため手続きはとても大事になります。

そこで、美容室オーナーなど個人事業主のために、法人成りしたときの手続きをまとめました。

※この記事は2017年2月時点の法令に基づいたものです。その後の改正に対応していません。予めご了承ください。

個人事業主の法人成りの手続きまとめ

法人の設立の手続き

個人事業主の開業は簡単ですが、法人の設立には手間と費用が発生します。法人の形態には『株式会社』『合同会社』『合資会社』『合名会社』などがあります。

美容室など一般的な個人事業主であれば『株式会社』をオススメします。なぜなら株式会社は法人全体の80%以上を占めているため、認知度が高く人から見られるときの信用性が高いというメリットがあります。

さらに、設立費用は25万円程度と合同会社(10万円程度)などに比べると若干割高ですが、「資本金1円から」「株主1名から」と昔に比べて設立のハードルが大きく下がったこともメリットになります。

さて、司法書士さんに依頼して法人を設立しても安心できません。なぜならまだ税務署への手続きが済んでいないからです。税務署への手続きは法人ごとに若干異なりますが、基本的には次の書類が必要となります。自分で書いて提出することもできますが、税理士へ依頼すると電子申告でも提出できるので手間が少なくて済みます。(関連記事『税理士には開業6ヶ月前から相談しておいた方がいい意外な理由』)

なお、これらの書類は郵送でも提出することができます。詳しくは『郵送で開業届を税務署へ提出する方法│マイナンバーの記載は要注意!』を参照してください。

法人の設立届出書

『法人の設立届出書』は設立から2ヶ月以内に、本店の所在地を管轄する税務署へ提出します。そして税務署の他に都道府県と市区町村へも提出します。

税務署の書式はこちらからダウンロードできますが、地方自治体の書式は様式が異なるため、各自治体のホームページから探してみましょう。そこからダウンロードできるはずです。

定款と登記簿謄本のコピーを添付して提出しますが、平成29年度の税制改正大綱で登記簿謄本の添付が不要となったため、添付が要らなくなる可能性があります。(添付しても問題ないと思いますが)

青色申告の承認申請書

『青色申告の承認申請書』は、設立から3ヶ月以内に税務署に提出しないと受けられません。提出が遅れると『白色申告』となって青色申告のメリットが受けられないため注意しましょう。

税務署の書式はこちらからダウンロードできます。

法人の青色申告のメリットとしては『欠損金の繰越控除』が使えることです。赤字を繰り越すことで翌年以降の黒字と相殺できる制度です。ただし、経営が軌道に乗って法人成りする美容室などは、もともと黒字が想定されるので、大きなメリットにはならないかもしれません。

ですが、青色申告の承認申請書は提出して損となるものではないため、設立届出書と一緒に提出しておきましょう。

源泉税の届出書

従業員やスタッフに給与を支払う場合は、源泉税に関する届出書を税務署に提出します。その際2つの届出書を検討します。

ひとつ目は『給与支払事務所等の開設届』で、法人が源泉徴収義務者であることを知らせる届出書です。法人成りして従業員やスタッフを雇用したときは忘れずに提出しましょう。

税務署の書式はこちらからダウンロードできます。

 

ふたつ目は『源泉所得税の納期の特例申請書』です。給与から天引きした源泉税は、原則翌月10日までに納付しますが、給与を支払う従業員が10人未満だと申請書を提出することで7月と1月の年2回にまとめることができます。

税務署の書式はこちらからダウンロードできます。

消費税の届出書

法人の設立1期目は基準期間がないため原則消費税を納める義務がありません。個人事業主の法人成りするのも消費税の免税事業者の活用という大きなメリットを受けるのが理由のひとつです。(関連記事『消費税で法人成りのメリットを最大限活かす方法』

しかし、資本金が1千万円以上あると設立1期目であっても消費税の納税義務があり『消費税の新設法人に該当する旨の届出書』を提出します。

税務署の書式はこちらからダウンロードできます。

 

また、法人成りのタイミングで多額の設備投資をするため、消費税の還付を受けるという法人は、あえて消費税の納税義務者となる『消費税課税事業者選択届出手続』を提出します。ただし、課税事業者を選択すると2年間免税事業者に戻れない制約があるため注意が必要です。

税務署の書式はこちらからダウンロードできます。

棚卸資産・減価償却資産・有価証券の届出書

上記書類の他に『棚卸資産の評価方法の届出書』『減価償却資産の償却方法の届出書』『有価証券の評価方法の届出書』もあります。

必ず提出しないといけないというわけではありませんので、必要に応じて提出しましょう。なお、提出しないと法定償却方法や法定評価方法が採用されることになります。

事前確定届出給与の届出書

個人事業主と法人の違いの一つとして、事業主自身の給与があります。個人だと収入から経費を差し引いた所得金額が給与となりますが、法人では役員の報酬は毎月同じ給与(定期同額給与と言います)が原則となります。

さらにボーナスや賞与についても、原則支給できなくなり、支給するなら支給額と支給時期を事前に税務署に報告することになります。それが『事前確定届出給与の届出書』です。法人成りのデメリットとして報酬や給与のルールが厳しくなることがあります。

税務署の書式はこちらからダウンロードできます。

個人事業主の廃業の手続き

法人の設立の手続きと同時に個人事業の廃業の手続きも必要となります。飛ぶ鳥跡を濁さずの精神できっちり提出しましょう。

必要となる書類は個人事業主ごとに若干異なりますが、次の書類が想定されるため必要に応じて提出しましょう。

個人事業の廃業届出書

『個人事業の廃止届出書』は、法人成りから1ヶ月以内に納税地の税務署に提出します。

納税地は、毎年提出していた確定申告書の第一表左上に記載してある税務署です。記載項目の一つに法人成りした場合の法人名と本店所在地もあるので忘れずに記載しておきましょう。

なお、『給与支払事務所等の廃止届出書』は『個人事業の廃業届出書』を提出していれば、改めて提出する必要はありません。

税務署の書式はこちらからダウンロードできます。

所得税の青色申告の取りやめ届出書

個人事業で青色申告の承認を受けていた場合は『所得税の青色申告の取りやめ届出書』を提出します。

提出期限は法人成りの翌年3月15日ですが、忘れないために廃業届出書と一緒に提出しておきましょう。

税務署の書式はこちらからダウンロードできます。

消費税の事業廃止届出書

個人事業で消費税の納税義務者だった場合は『消費税の事業廃止届出書』を税務署に提出します。

もとから消費税の課税事業者でなければ提出は不要ですが、課税事業者であった場合は忘れずに提出しましょう。

税務署の書式はこちらからダウンロードできます。

所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書

個人事業主のときに、住所ではなく美容室の店舗所在地を納税地としていた場合は、法人成りのタイミングで納税地を住所に戻す必要があります。

その際に『納税地の変更届出書』を税務署に提出します。なお、もとから住所を納税地としてい場合は改めて提出する必要はありません。

税務署の書式はこちらからダウンロードできます。

社会保険の手続き

税務関係の手続きについてまとめましたが、社会保険についても手続きが必要となります。

なぜなら美容室の経営では、個人事業主であれば従業員の社会保険は雇用保険と労災保険だけでも構いませんが、法人成りすると従業員数に限らず厚生年金と健康保険への加入が義務付けられるからです。(社長自身も加入する必要があります。)

労働保険については、名義変更の手続だけで済みますが、厚生年金と健康保険は新しく加入手続きが必要となります。しかも法人成りから5日以内と早いため余裕がありません。

実務上では、手続きの期間が短く、専門性も必要とされるため社会保険労務士に依頼するのが簡単で失敗がありません。

[関連記事]

美容室の開業で法人と個人で迷ったら知ってほしい社会保険の違い

まとめ:始める手続きと終える手続き2つが必要

美容室など法人成りする個人事業主のために、法人成りで必要な手続きについてまとめました。専門的な言葉を使っていないの概要は理解してもらえたのではないでしょうか。簡単に整理すると次のとおりですが、不安があるときは税理士へご相談ください。

[法人の設立の手続き]

  • 法人の設立届出書
  • 青色申告の承認申請書
  • 源泉税の届出書
  • 消費税の届出書
  • 棚卸資産・減価償却資産・有価証券の届出書
  • 事前確定届出給与の届出書

[個人事業の廃業の手続き]

  • 個人事業の廃業届出書
  • 所得税の青色申告の取りやめ届出書
  • 消費税の事業廃止届出書
  • 納税地の変更届出書
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