美容室を開業する上で最も悩むのが収入ではないでしょうか?
内装工事や設備の見積書・賃貸借契約書からしっかりした事業計画書を作成して、融資で必要な開業資金を確保できたと思っても、いざ開業すると資金が不足することがあります。それは、開業資金以外に発生する支出を把握していないことが原因かもしれません。
そこで、開業したばかりの美容師など個人事業主のために、実際に自分が税理士事務所の開業1年目に経験したことを交えて、資金繰りを悪化させる意外な要因とその対処方法をまとめました。
住民税
概要
住民税の計算は前年の所得が基準となり、計算した税額を翌年に徴収する方式となっています。徴収方法は自分で銀行等で納付する普通徴収と、給与から天引きする特別徴収があります。
特別徴収していた美容師が年の途中に独立開業すると、普通徴収に切り替わり自分で納付する必要があります。また、税額は前年の所得が基準となるため、収入が少ないにかかわらず税額が大きくなる可能性があります。
自分もやはり年の途中に前会計事務所を退職して独立したため、住民税の通知が郵送され、とうとう来たかと思いました。分かっていても辛いと感じました。
対処方法
住民税を管理しているのは税務署ではなく市区町村の住民税課になります。『退職したこと』『開業したこと』等の事情を説明して対応策があるか確認してみましょう。市区町村によって違いはありますが、減免または猶予ができることがあります。
[参考ページ]
引用│横浜市ホームページ
国民健康保険
概要
独立開業すると国民健康保険への切り替えの手続きが必要になります。これまで給与から天引きされていた場合は、国民健康保険になると自分で納付することになり大きな負担となります。
国民健康保険の計算も住民税の計算と同じように、前年の所得が基準となるため給与の金額によっては、大きな負担となる可能性があります。
対処方法
国民健康保険の管轄は市区町村ですが、市が違うと対応が異なるため、住んでいる場所の市区町村に確認してみましょう。(国民健康保険への切り替えの際に一緒に確認してみましょう)
[参考ページ]
引用│横浜市ホームページ
国民年金
概要
独立開業して厚生年金から国民年金に切り替わる場合は、市区町村の年金課で手続きが必要となります。(もとから国民年金の場合は不要)
国民年金も上記同様に自分で納付する必要があるため、収入が安定しないと大きな負担となります。
※ 国民年金第1号被保険者及び任意加入被保険者の1か月当たりの保険料は16,490円です(平成29年度)
対処方法
国民年金は経済的に納付が難しい人のために、全額又は一部を免除できる制度があります。手続きは市区町村の年金課または年金事務所で行うことになります。申請をすると審査結果が郵送されます。一部免除の場合は免除後の国民年金を納付することになります。
自分も区役所で1号に変わる手続きをして、その場で半額免除の申請をしました。数週間後に半額免除後の納付書が届きそれで納付しました。顧問先ゼロの状態で収入がないため、無い袖は振れないのです。
[参考ページ]
引用│日本年金機構ホームページ
その他(ローン・生活費・教育費)
上記の他にも資金繰りを悪化させる要因としては、『住宅ローン』『自動車ローン』『生活費』『自宅の家賃』『教育費』などが考えられます。
これらの支出は事業と直接関係ないため、税理士が毎月の試算表を作成しても把握しづらいため、資金繰りを悪化させていることに気づかないことがあります。
なかなか開業前の生活水準を変えるのは大変ですが、事業が軌道に乗るまでは削れられる支出がないかチェックしてみましょう。
通っていないスポーツジムの年会費、読んでいない新聞や雑誌の購読料、たまにしか乗らない車やバイクの維持管理費など削れる支出は多いはずです。
まとめ:事業以外の支出もしっかり把握
開業1年目に資金繰りを悪化させる意外な要因と対処方法をまとめてみました。
独立開業を目指す人は開業資金ばかりに目がいってしまいますが、生活するためには事業資金以外の支出も結構多いことを理解できたと思います。自分でも記事を書いていてもっと節約すべきだったと反省しています(-_-)
開業してからのリスクを防ぐために、開業前の段階で生活するために必要な資金を書き出して計算してみましょう。そして削れるものがないか。減免や猶予できるものがないかチェックしてみましょう。