京極夏彦『邪魅の雫』を読みました。
古書肆で陰陽師の京極堂が活躍する百鬼夜行シリーズで、長編9作目になる作品です。
1000ページを越える大長編ですが、その厚さを感じさせないおもしろさでした。
本作はシリーズ物ですが他の作品を読んでいなくても楽しめます。ですが登場人物の人間性や関係性を知っているとより楽しめます。なので是非一作目から読んで欲しいところです。どの作品もめちゃくちゃ厚い本ですが。
あらすじ&感想
物語(世界)の始まりは、交番勤務の青木から始まります。江戸川と大磯で発見された死体に疑問を感じ、独自に調べ始めますが、なかなか繋がりを掴めません。
他方、探偵事務所に籍をおく益田は、所長の榎木津礼二郎の縁談相手に不幸が続くことについて調査を依頼されます。
別々の事件が連続的に発生していきますが、繋がりがつかめないまま解決できず、さらに事件が発生していくという状況で、ついに京極堂が動き出します。
というあらすじですが、なにせ1000ページを越えるので、簡単にはまとめられません。
読んでいても登場人物が多く、一人ひとり把握できません。そして事件も次々と発生するので今がどのような状況なのか頭が混乱してきます。ですが、これは読者だけでなく登場人物(警察、探偵、小説家)も混乱状態になります。
解決編では、そんな混乱状態を京極堂が一人ひとりの世界を解きほぐしてくれます。その解決編を読むとすべての疑問が解決し、読者と登場人物の全員が納得します。(榎木津礼二郎は最初から視えているようですが)
全体では文庫本3冊分ありますが、飽きることなく読める一冊です。さすが京極夏彦!!
長編作品では現時点では『邪魅の雫』が最新刊で、次の作品(鵺の碑??)はまだ発表されていませんが、早く読みたくて待ち遠しい!