伊坂幸太郎『サブマリン』を読みました。
前作『チルドレン』に続く作品で、家庭裁判所の調査官である陣内さんと武藤さんと、事件を起こした少年たちとのお話です。
少年事件という難しいテーマを、ユーモアたっぷりに描いた読後感が気持ちいい一冊です。
あらすじ&感想
家裁の調査官で少年事件を担当する陣内(上司)と武藤(部下)は、無免許運転で人を轢き殺してしまった棚岡少年を担当することになる。
棚岡少年(棚ボタ君)は、事件について一切喋ろうとはしない。
しかし別件で保護観察中の小山田少年、同じように10年前に脇見運転で人を轢き殺してしまった若林青年が、事件について関係してくることで、新しい事件の側面が見えてくる。
ラストは、陣内さんの遠慮のない優しさと、小さな奇跡に感動します。
感想としては、少年事件という割り切れない思いを理解する良い機会になったことです。
勧善懲悪で罰を与えられれば楽だけれど、少年事件は、そう簡単にはいかないのだなと改めて思いました。そしてメディアに出てくる情報は事件の一部分でしかないのだから気をつけて情報を得ないといけないと思いました。
サブマリンの名言
陣内『弘法は筆をそこそこ選ぶ』
小山田少年『一番怖いのは、人や社会に対する恨みをこつこつ溜め込んで、そこから溢れ出たものが、ネット上に洩れているような人だよ』
田村守『事故ったもん勝ち』
若林青年『許してもらえると期待したのかもしれません』
陣内『子供相手に弱いもの苛めしてるから、巡り巡って、取り返しのつかない事故が起きたんだよ・・・』