毎年5月から6月にかけて各市町村から届くのが従業員の住民税の特別徴収税額です。
本来であれば、毎月10日までに1ヶ月分ずつ納付しますが、中小事業者によっては1年分を一括で納付してしまう人もいます。
そこで、特別徴収の住民税を1年分一括で納付した場合の仕訳方法について紹介します。開業したばかりの個人事業主や中小企業は参考にしてみて下さい。
特別徴収の住民税とは
住民税とは、市区町村民税や都道府県民税をまとめた言い方で、住んでいる地域に支払う税金で、前年の所得金額に応じて計算されます。
住民税の納付方法は、自宅に郵送される納付書を使って自分で支払う『普通徴収』と、給与から天引きされ事業主が支払う『特別徴収』があります。
前年の所得に対して課税されるため、従業員を雇用する事業主は、開業1年目は従業員の給与から天引きする住民税はありませんが、2年目になると給与から住民税を天引きして納付する必要があります。
原則的な納付スケジュール
事業主は、開業1年目に年末調整した従業員の源泉徴収票(給与支払報告書)を市区町村に報告すると、翌年5月から6月頃に従業員の給与から天引きする住民税の一覧と納付書が郵送されてきます。
事業主は毎月の給与から住民税を天引きし、それを翌月の10日までに金融機関で納付します。これを7月から翌年6月までの1年間続けます。
このときに、従業員が少ない場合や、従業員が家族で辞める心配がない場合、税額が少ない場合、毎月納付するのが面倒な場合など、条件によっては1年分を一括で納付する事業主もいます。
住民税の仕訳
住民税を給与から天引きして納付する場合の仕訳は次のようになります。
まず給与の支給時は、[給与/預り金]という仕訳になります。給与から源泉徴収するときは預り金という勘定科目を使います。預り金は住民税の他にも『所得税』『健康保険』『厚生年金』などにも利用するため、補助科目で区別しておくと混乱しなくて便利です。
そして住民税の納付時は、[預り金/現金または預金]という仕訳になります。住民税を毎月納付していると預り金の残高は0になりますが、1年分を一括納付すると、天引きする金額よりも納付する金額のほうが大きくなるので残高がマイナスになってしまします。
このまま決算を迎えると、貸借対照表の預り金の残高がマイナスのまま申告することになり、決算書が正しい表示とはいえません。そこで決算時に住民税のマイナス部分を[前払金/預り金(住民税)]とすることで正しい表示なります。
まとめ:一括で納付すると少し違う仕訳
住民税の特別徴収税額を一括納付する場合の仕訳の注意点を紹介しました。
ポイントは決算書の残高がマイナス表示ならないように、決算時のマイナス残高を前払金に振り返ることです。
決算書を添付する必要がある、青色申告特別控除の65万円控除を適用する個人事業主や、法人の中小企業は参考にしてみて下さい。